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前ページ次ページゼロの黒魔道士 ピコン ATE ~とどかぬ想い~ 「――以上のように、建造物の破損、倒壊はかなりの件数にのぼりますが、住民の被害は軽微と言ってよろしいかと」 ラ・ロシェールの火災は、王宮から派遣された水メイジの手により沈静化していた。 その筆頭に立ったのは“波濤”という二つ名がして知られるモット伯であり、今報告を行ったのも彼だ。 艦隊が煉獄の炎を伴い落ちてきたことによる家々の崩落と火災は、駆け付けたトリステイン王軍の士気を著しく下げたが、 蓋を開けてみれば、突然の発光、爆発(この件については未だ情報が錯綜しており、正体不明となっている)によるアルビオン軍の壊滅、 及び住民の避難がほぼ完了していたことによる人的被害の軽減、 何より見目麗しくも勇ましいアンリエッタ姫殿下自身による鼓舞により、 主に残務処理となった軍の行動は着々と進んでいた。 「――軽微とはいえ、死んだ方が出たのですね……」 「おそれながら、アンリエッタ様。それが戦争かと」 と答えるものの、マザリーニ枢機卿は安堵していた。 軍人の被害は、当初の式典に参加していた者達の内に限られ、 民間人の死者は式典を危険な屋根の上や崖の傍で観覧していた無謀な輩のみだった。 数で言えば、軍・民間合わせ200人に満たない。 これはこの規模の戦闘行為から考えれば軽すぎる、とも言える。 軍人ではないマザリーニにしても、被害がここまで抑えられたことに驚嘆するしかなかった。 それは被害状況を視察に来た閣僚達も同様であった。 「被害に遭われた方、ならびにそのご遺族には国庫より何らかの保護を」 「そうなりますと今期の予算が――」 デムリ財務卿が苦言を挟む。 とはいえ、彼自身も予期していた軍事費を削れたことに胸をなでおろしていたはずだが、 それでも秋小麦収穫前の思わぬ出費は時期的に頭を悩ませることになっていた。 「我々のお給金を削るなり、必要無い予算を削ればよろしいでしょう」 「――確かに、この際ついでに不明瞭な予算を見直すのも手ですな」 「そ、そうですな。アルビオン軍が出てくることはもはや考えにくいですし――」 アンリエッタの言葉に、マザリーニが含んだ視線をリッシュモン高等法院長に向ける。 ここ数年のリッシュモンの散財ぶりが収入に合わないとする噂は耳に入っている。 流石に、高等法院長ということで易々と調査できないことから機会あればと常々狙っているのだ。 「――ところで、この街を守られた勇猛な方はどちらに?」 ・ ・ ・ ラ・ロシェールの玄関口であるビッグブリッヂ付近、そこに勇敢なる者達がいた。 「ひ、姫殿下!またご尊顔をたまわることは光栄の極みでして――」 跪く所作こそ貴族らしい優雅なものではあったが、ギーシュの身だしなみは酷いものだった。 メイジの象徴たるマントはズタズタに破け、フリルつきの特注のシャツは血と汗で汚れている。 自慢であろうハニーブロンドの髪もグシャグシャである。 しかし、それら全てが戦いを終えたという男の持つ独特の雰囲気とあいまって、戦士たる者であったことを主張していた。 「あぁ、よいよい、面をあげよ。ふむ、君だったのか。グラモン家の」 「はっ!不肖の四男坊、ギーシュ・ド・グラモンと申します!」 威風堂々とまではいかずとも、立ち上がって名乗る。 しかし、その膝は流石に疲れていたのか、笑いが止まらない様子であった。 「ふむ、そなたの活躍によりラ・ロシェールの民が守られたわけだ。いや実に素晴らしい――」 軍人であるド・ゼッサールがその髭面に似つかわしい豪胆な笑いでこの若き勇者を称える。 彼にとって、有望な若人は常に大いなる刺激であり、また期待を寄せる存在なのだ。 「あ、あの、そのことなのですが――実は私めよりもこの方が――」 「こ、こらっ、ギーシュ!?引っ張るなっ!?」 フラフラになった足取りで少年が橋の欄干の影より連れだしたのは、鎧に身をまとった妙齢の女性であった。 彼女もまた、ギーシュと同じく血と汗にまみれた良い姿になっている。 「――む、君は?」 「――アニエス、その後には何もつきませんよ」 不満たっぷりといった様子でその女は名乗った。 単純で明快な名前のみで苗字が無い。ハルケギニアにおいてその事実が示すこととは―― 「なんと、ミスタ・グラモン!?君は、君よりもこの平民の女性が活躍したとでも!?」 「えぇ、私めなどひよっ子もいいところです!しかし、アニエス先生の活躍はまさしく八面六臂! 敵をちぎっては投げちぎっては投げの大活劇!まるで紙の兵隊を相手にするような――」 まるで自分のことのように、まるで物語の英雄譚を思い出しながら語る子供のような表情で、 ギーシュがアニエスの活躍を語る表情は晴れ晴れとしており、そこには曇りは一点たりとも無かった。 「ギーシュ、やめろ。そう宣伝される武勲でも無い。第一、お前が来なければわたしは死んでいた」 頬をかき、苦い笑顔をつくりこれを聞くアニエス。なるほど、求道の武人らしく誇張を嫌う性質なのだろう。 ゼッサールは彼女が気に入り始めていた。武人の性さえあれば、男女の区別なしに気に入る彼もまた武人である。 「――ぬぬ、しかし、平民の活躍譚とあっては確かに喧伝するのは対外的に――」 これとは反対に、渋い顔をするのがド・ポワチエである。 彼は武人としてはそれなりの実力はあるのだが、身分や階級というものに固執するきらいがあり、 今回の若き者達の活躍譚も、素直に快く受け入れるだけの度量というものが無かった。 「あぁ、構いませんよ。わたしはただの平民です。以前、貴公方の警護役を務めましたが勝手にやめた無責任さですし」 アニエスの語ったことは真実である。 彼女が密かに抱いている目標のために、一時期“王宮警護官見習”という低い職を得たとはいえ、 剣士にあるまじき醜態を衆目に晒した負い目から自分探しの旅に出る際、 一言「一身上の都合で辞める」とだけ書いた封書を王宮に送りつけていた。 「――ならば、もう1度登用し、貴族の称号でも与えれば、対外的な言い訳も立ちますわね?」 「アンリエッタ様!?」 ここまでの話を、目を瞑りじっと聞いていたアンリエッタ姫がおもむろに口を開いた。 「アニエス、とおっしゃいましたわね。――此度の一連の出来事から、私どもも王宮銃士隊というものの結成を考えております。 主に、私の手足となっていただく部隊ですが――その初代隊長の任をおまかせしてもよろしいでしょうか?」 この発言は、メイジとしての地位がより重要視されるトリステインにおいては異例中の異例、前代未聞、空前絶後であった。 何より、いつも傍にいてアンリエッタのことを知るマザリーニにしても、このような計画は初耳であった。 「――身に余る光栄ですが、何か裏でも?平民の下衆な勘ぐりで申し訳ないですが」 アニエスの右目が猜疑の色に見開かれる。左目は今回の戦闘で血が少し入り、今は開けにくい状況だからだ。 「フフ、流石ですね。――貴女と同様、メイジもメイジを信用できなくなりつつあるのです」 アンリエッタの語ったことは真実である。 魔法衛士隊はグリフォン隊の隊長職であったワルド子爵の裏切り、 閣僚会議の情報が外部に流出しているらしいという伝聞、 トリステインの貴族社会は、今までに無いほど腐敗しているといっていいだろう。 ならばこそ、平民を登用し、腐った貴族達の牽制とする―― アンリエッタの狙いは施政者として的を射たものであった。 「――なるほどな。お受けするのは結構だが、大人しく飼われはせんぞ?」 そのしたたかな狙いを感じ取ったアニエスが不敵に笑う。 その狙いの意味するところは、彼女の密かな目標と合致するものではあるが、 貴族という存在を嫌う彼女としてはただの尻尾をふるだけの飼い犬になる気はサラサラ無かった。 「――貴様、先ほどから不敬にも程があるぞっ!!貴様のような平民が――」 ポワチエが吼える。もちろん、不敬であることを咎めるわけではない。 彼は危機感を抱いたのだ。平民を登用し、自分と同等以上の地位に上げられてしまうという事実に。 しかし、彼の咆哮はアンリエッタ自身の手により制止されてしまった。 「結構でしょう。フフ、貴女のような方と共にいれば、私も強く見えますかしらね?」 「――いえ、噂よりお強い姫様にはわたしなど不要でしょう」 「貴女ほどではありませんわ」 力強い笑みを浮かべる二人の若き女性の姿に、今は亡き前王の姿を重ね、 あの幼き娘が立派になられたと、マザリーニは1人歓喜の涙を心で流していた。 「ギーシュっ!!」 「やぁ、愛しのモンモン、無事だったグホブァっ!?」 それは、ただのパンチというには、あまりにも重い一撃であった。 走りながらの前傾姿勢、そこから生まれるダウンフォースは、重力というものを味方につける。 沈んだ体から放たれた右手は、自然のままにひねりが加えられていた。 そう、彼女の髪の毛と同じく、螺旋の軌道を描いて定めた目的点に到達した。 定められた到達点、そこはギーシュの肋骨の稜線の合わさる地点、 東方医学においては水月、すなわち鳩尾と言われる部分であった。 全てが本能のままに、自然に。 それは古に生きる肉食獣、虎をも戮すとされた拳、 “タイガーブレイク”とも呼ばれた技であることを、殴った本人すらも意識していなかった。 まさに天賦の才。ナチュラル・ボーン・ファイターとはこのようなことを言うのだろうか。 ゼッサールはそれを見逃さず、小さく「ほぅ」と感嘆の声をもらした。 「バカバカバカバカバカっ!!何勝手に突っ込んでるのよっ!!」 「あ、あの場で逃げてはカッコ悪いじゃないクベラッ!?」 その生来生まれついた格闘センスでもってひたすら殴り続けられるギーシュ。 だが、なおもそれに耐えているところを鑑みるに、彼もまた驚くべきタフネスぶりだ。 ゼッサールは将来の見込みのある戦士達が育っていること嬉しく思いながら、無骨な優しい瞳で見つめていた。 「だっからあんたは大馬鹿なのよっ!!あのねぇ、ほんとねぇ、私が、私が、どれだけ心配したか――」 「モンモランシー……」 「ギーシュ!」 だが、涙ながらに抱き会う若いカップルを凝視し続けるほど無粋では無いので、 すぐに視線を明後日の方向へとそらすのであった。 「――あの、ミスタ・グラモン?」 その傍から見て微笑ましくも鬱陶しい抱擁を破ったぬったのは、素朴な魅力のある女性の声だった。 「ん?あ、あぁ、シエスタ、ルイズ、キュルケ君も!みんないたのか?」 「さっきからいたわよ!も~見せつけてくれるわねぇ!妬けるわぁ~」 赤髪の少女がニヤニヤとする。これでまたからかうネタが出来たと手ごたえを感じていた。 「ギーシュ、ビビは!?ビビは、どこにっ!?」 周囲の笑顔を破る声は、桃色の髪の少女、ルイズから発せられた。 白き大爆発の後、あまりにも多大な精神力を消費し、眠りこけたのを友達に発見され、 目が覚めまず心配したのは自身の使い魔のこと。 彼の無事が、とにかく心配だった。 愛すべき使い魔であり、友であり、自身の進むべき道を示した大事なビビのことが。 「ビビ君――そうだ!?ビビ君はっ!?ビビ君は無事なのかっ!?」 「あんたと一緒じゃなかったの!?」 「ビビ君は敵の旗艦に1人立ち向かって――」 「ルイズ、何事ですか?」 彼女を支えた者達の慌てように、アンリエッタが眉をしかめる。 「姫殿下!!私のビビ、いえ使い魔が――」 ・ ・ ・ 「――敵の脱出船は粗方拿捕いたしました。しかし、お探しの少年は――」 即席の司令部がラ・ロシェールに作られていた。 といっても、近場で唯一焼け残った酒場を利用したものであるが。 そのため、あちこちに割れた酒瓶やマグが散らばっている。 帳面に敵方の捕虜の詳細な情報を急ぎ集め、献上するはめになった書記官の疲れた表情がそこにはあった。 「そんなっ!?それじゃ、まさか脱出が遅れて――」 「『レキシントン号』より脱出した捕虜の証言によりますと、船が謎の光に包まれて爆破した前後、 “お客”と戦闘をし腕を失ったとの情報も――」 書記官は表情を変えない。彼はあくまでも文官で事務的に物事を処理する性質だった。 そんな彼が、わずかに首を横にふる。それは、彼なりの精一杯の“ご同情申し上げます”という仕草だった。 「そんな――そんな――」 「まさか、ビビちゃん――」 「墜落した船群は破損が激しく、全てを調査しきってはおりませんが生存者がいる可能性は――」 書記官は、淡々と事実を述べていく。そこには嘘や冗談といったものの存在を許さない確固たる意志が存在していた。 「ビビさんが、そんな――」 「ビビ君――」 「ビビが――ビビ――ビビぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 少女の悲痛なまでの叫び声が、ラ・ロシェールの岩場に反響し、 遠く、高く、淡い黄昏色に染まる空に弾けて、やがて風になった。 目覚めた朝は、いつも喜びを願うんだ。 今日もいい日でありますようにって…… ……その日の目覚めは、深い水の底から上がってくるみたいに、 やっと光が見えたって感じのするものだったんだ。 「ル……イズ……おねえちゃ……ん……?」 寝ぼけた目で、辺りをキョロキョロと見渡したけど、ルイズおねえちゃんの姿は無い。 確かに、ルイズおねえちゃんの声を聞いたような気がしたんだけど…… 「……?ここ、どこ……??」 見慣れない壁、見慣れない天井、でも、窓の外の木漏れ日は、どこも変わらない優しいものだったんだ。 ゼロの黒魔道士 ~第四十一幕~ 忘却の森 ウエストウッド村 しばらく、ボーっとしていた。 なんか光を見るのが久しぶりって感じがして、目がショボショボした。 何十回目かの瞬きの後、軽い音がして、水の入ったマグを持った女の子がその部屋に入ってきたんだ。 「あ、気づいたんですか?よかった~!3日3晩寝てたんですよ?」 「……あ、えーと、君は……」 小鳥のさえずるような声。蜂蜜をこぼしたような髪の毛。 ニッコリ笑うその子は、とっても優しそうな女の子だった。 「ビビちゃん、ですよね?私はティファニアと言います。どうぞ、テファって呼んでね?」 「あ、う、うん……え、っていうか、どうしてボクの名前……それに、ここは……」 跳ねるようにしゃべるその子は、何故かボクの名前を知っていたんだ。 「ここはアルビオンのウエストウッド村というところです。あなたの名前は、あなたを助けた人から聞いたの」 「ボクを……助けた人?」 記憶がちょっとずつ戻ってきた。 ラ・ロシェールの上空で飛空挺同士の戦いがはじまって、 ギーシュと分かれて、一番大きな飛空挺の上までチョコボで駆け上がったら、 ワルドがいて、ワルドにやられて、光に包まれて、とりみだしたワルドに左腕を砕かれて…… 「そう、クジャさんって言う人なんだけど――」 「クジャ!?あいつが、やっぱりあいつがいるのっ!?」 記憶の最後に見た光景は、夢や幻では無かったみたいだった。 ボク達の世界で酷いことをしたあいつが、まだ生きてこっちの世界にいたんだ! いてもたってもいられなくなって、跳ね起きた。 「キャッ!?」 「……あ、ご、ゴメンなさい……」 そしたら、テファにぶつかっちゃった。 水が入ったマグがバランスを崩して、中の水が全部テファにかかってしまった。 「大丈夫ですよ、よくあることだし――やっぱり、クジャさんとお知り合いなの?」 「知り合い……そんなもんじゃ……」 テファが、この優しそうな子が、クジャをさん付けで呼ぶことにものすごく違和感があった。 それに、もっと違和感があったのは、テファが最初に言ったこと。 クジャが、ボクを助けた?右手で左腕の付け根をおさえる。 違和感も痛みも無く、つなぎ目すらも見当たらない。 左腕がちぎれたって記憶すら嘘に思えてしまう。 なんで、クジャがボクを?頭がグルグルしてきた。 「いい人ですよね、クジャさん。優しいですし」 「そんなわけっ……」 「?どうかされました?」 「う、ううん……なんでも、無い……」 そう言って途中で言い淀んでしまった。 ボク達の世界での、クジャの最後を思い出したからだ。 あのとき、自棄にんったクジャは、みんなを巻き添えにしようとして、ボク達に倒されて、その後は…… ジタンが、助けに行った。そこからのクジャを、ボクは知らない。 あのクジャが、そう変わるとは思えない。ボクがクジャを憎む思いも、そう変えられそうにない。 でも、クジャはボクを助けた。あのときも……あのときも? うまく言葉にはできない、モヤモヤとしたもので頭が一杯になって、ものすごく気分が悪くなった。 「あ、そうそう、ビビちゃんにクジャさんから伝言があったんでした!」 「クジャから?」 「えーっと、ちょっと待ってくださいね、長いのでメモが――あぁ、あったあった」 テファが、胸元の辺りから、小さい紙を取り出した。 さっきマグをひっくり返したときに、水がかかったからちょっとグシャグシャになっている。 ちょっぴり申し訳ない気持ちになっちゃったんだ。 「“二度目のお目ざめ、いかがかな?お久しぶりだね、ビビ君! 虹も出さずに戦乱に終止符を打った君達は、まさに最高だ! だがね、まだ第二部だ。終幕の音は近い。覚悟したまえ。 追伸。指輪に注意したまえ”――」 間違いなく、この言葉遣いはクジャだった。 何が終止符だ。何が最高だ。あいつは、あいつがやった酷いことは、あいつは…… 嫌な気持ちが、どんどんとボクを満たしていったんだ。 「あ、まだ続きがありますね。“さらに追伸。 許してもらえるとは思わないが、すまなかった”」 最後の追伸の意味が分からなかった。 すまなかった?許してもらえるとは思わないが? 誰に、謝っているの?なんで、何を、謝っているの? いや、それよりも、あのクジャが……謝った? こんがらがったグチャグチャが、声にならない喉元の辺りでうずまいてる感じがして、クラクラした。 「――色々、あったんですね?」 「……うん……」 色々、あった。本当にそれしか言いようが無さそうだった。 「とりあえず、起きれます?朝ごはんには遅いですけど、用意してますから」 「うん……」 ……ここにいたクジャって、この間ボクが見たクジャって、今までボクが知っていたクジャとは違うの? 頭はみっちりと、そういうわけわかんない考えで一杯だったけど、お腹は空っぽだったから、テファについていったんだ。 ・ ・ ・ ウエストウッド村って、静かな木漏れ日の中に細い道があって、どことなく、黒魔道士の村に似ている。 だから、村の中を歩いているだけで、なんとなくホッとして落ち着く。 「あ、テファ、ゴーレムのチェックレポートだけど――ゲ、チビ助!?」 「な、なんでフーケもがあふぁふぁ!?」 小道を抜けて、ちょっと大きめの家にたどりつくと、見知った顔があったんだ。 土くれのフーケ。ボク達を2度も襲った泥棒だ。 会ったと思ったら、いきなり口をフーケに塞がれてしまった。 「わ、わたしもこの村出身なのよ、オホホホ。いや、奇遇ね~、ビビちゃん?」 口を塞いでくる手が汗でじっとり湿ってきている。 ……テファに、フーケってことを秘密にしているのかなぁ? 「あら、マチルダねえさんもビビちゃんとお知り合いなの?」 「そ、そうさね。ちょっと、色々と、外でね。うん。」 どうも、テファはフーケをマチルダねえさんって呼んでいるらしい。 ……“フーケ・マチルダ”とかそういう名前だったのかなぁ? 「いいなぁ~!私も、色んな人と出会いに外に行きたいな!」 木漏れ日の間から、空を見上げるテファの顔に、黒魔道士24号さんの面影を見た気がするんだ。 いっつも、村の入口近くにいて、木の間から光を見ていたっけ。 みんな、もっと命が続けば色々見たかったって言ってたなぁ、とちょっぴりしみじみしちゃった。 「――いいかい、チビ助、私はあんた達に何するつもりも無いから、ここじゃマチルダかロングビルで頼む」 そんなテファを、チラチラ見ながら、ボクにだけ聞こえるような小声でフーケが言う。 テファを見る目が、子供を見守るお母さんのように優しいもので、 そんな目をするのがボク達を襲ったフーケであることに、なんか違和感があった。 「う、うん……」 「あ、ほら、ビビちゃん!ご飯、あっためなおしますから、早くっ!」 「ほら、じゃぁ行くよ、チビ助っ!」 「うん……」 ・ ・ ・ 「相棒ぉぉぉぉぉ!!無事で良かったわ!いやおれっちマジで心配しててよーっ!!しかしあれだな――」 デルフと再会して、遅めの朝ごはんを食べている間、ずっと考えていたんだ。 ……今まで会った悪い人たちって、本当に悪い人たちだったのかなって。 ピコン ATE ~渇いた望み~ タルブからほどほどに離れた林の奥、人立ち入らぬ泉の傍に2つの影があった。 「ちっくしょ…… ちくしょう……ちくしょう…… ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちっっっっくしょーー!!」 2度までも主の命を救ったグリフォンと、2度までも命を救われた男である。 「この俺がっ!!2度までもっ!!」 男は、グリフォンの労をねぎらいもせず、呪詛を唱え続けていた。 「あいつらさえ、あいつらさえいなければっ!!」 あの糞ったれのガキがいなければ、思い通りにならない元婚約者さえいなければ、 仮定の文章をいくら重ねたところで、事実は覆らない。 それは重々承知していたが、言わずにはおれなかった。 そして、一通り吐きだし切った後、身の振りを考える。 アルビオンに、レコン・キスタに戻る?答えはノーだ。 今回の戦は、必勝たるべく立てられた作戦であった。 であるからこそ、惜しげもなく戦艦を出陣し、奇襲を敢行したのだ。 だが、結果といえば、多くの残骸を作り、散り散りに燃え尽いただけ、 しかもトリステイン本軍はほぼ無傷の状態である。レコン・キスタは遅かれ早かれ瓦解するだろう。 しかも、である。最後の目を覆わんばかりの白い光は、恐らく“虚無”であろうと、ワルドは見当をつけた。 あれは魔法以外の何物でもなく、スクウェアたる自分をはるかに凌駕する威力を示した。 クロムウェルが見せた“虚無”などとは違う、圧倒的な力の存在。 思い当たる節は1人しかいなかった。思うが儘にならぬと切り捨てた少女の桃色の髪が浮かぶ。 あの力を見てしまえば、クロムウェルの“虚無”の力など羽虫もいいところだ。 そして、理想ではなく力のためだけにレコン・キスタに与していたワルドにとって、 力無き組織に戻ることなど、選択肢に入るわけが無かった。 では、トリステインに戻るか?それも論外だ。 今さらどうやって戻る?二重間者であったとでも言い張るか? 幼児の頭でも鼻で笑う稚拙な策だ。第一、ウェールズを始末したところは伝えられているだろう。 恋人を殺した男を、あの姫様が許すとは到底思えない。 帰るべき場所を失い、ワルドは落胆した。 力を求めれば、高みに登りさえすれば、全てが叶うと思っていたのに、 今や何もかもを失い、地に伏している。 だから、もう一度、苦渋の思いを吐きだすかのように「畜生っ!!」と叫んだ。 「ようよう、吠えてるな大将」 ガサリ、と茂みから音がして堂々たる体躯の男が、ワルドに近寄った。 左半身を覆う醜き火傷の痕さえ無ければ、獣と思ったことだろう。 事実、この男は人ではない野獣も同然の臭いがする。 「――メンヌヴィル、貴様も、嘲笑いに来たか!!」 メンヌヴィル、年齢で言えば、ワルドよりもずっと年上の歴戦の兵であるが、 その評判と言えば、畏怖こそされ尊敬はされず、軽蔑の声が多いという散々たるものである。 理由は、敵味方の区別無く、邪魔という理由で、否、“燃やしたい”という理由で相手を灰に変えてしまう残虐さにある。 その残虐さがゆえに、かつて上官を殺そうとし、反対に両目を焼かれ、正規軍を放逐されたという噂を聞いた。 今やかつての栄光をも凌ぐ非劣なやり口の傭兵として成り上がり、レコン・キスタにおいても相応の地位を築いている。 何を隠そう、ワルドをレコン・キスタに誘ったのもこの男だ。 「なぁに、お前さんの熱を確認しに来ただけだよ。まだ消し炭にはなってないようだな」 腐ったミルク色の両眼でギロリと見られても、既に粉々に砕かれていたワルドの心には何も影響が無かった。 「言っていろ!くそ、ちくしょう、ちくしょう――」 ただ、地面を見、呪いの台詞をつぶやくだけの人形と成り下がっていた。 「もっと、“力”が欲しいってか?」 それを見透かすのは焼け焦げた2つの目。 「貴様に、何が分かるっ!薄汚い傭兵風情にっ!!」 「もう同じ穴のなんとやら、だろ?いいから、答えろよ!“力”が欲しいか?」 煙で燻されたような、品の無い笑いと共に、メンヌヴィルが質問を繰り返す。 「――あぁ、欲しいとも!全てを蹂躙しつくす力が!万物を睥睨する力が!」 ワルドは、大声で答えた。 そうだ、地面にはいつくばり続けることに、誰が納得するというのだ? 力が、欲しかった。再び高みへと這い上がり、己を虚仮にしてきた連中を踏みつぶすだけの力が。 「――いい熱さだ。じゃぁお前さんも案内してやろう」 にやりと笑みを浮かべるメンヌヴィル。黄色い歯が鈍く光る。 「どこへ?」 「本当の“スポンサー様”のところへだ」 「スポンサー、だと?」 怪訝な表情を浮かべるワルド。とすると、この男はレコン・キスタに雇われたわけでは無かったというのか。 「あぁ!更なる“力”を、更なる“熱”をお与えくださるぜ!こんな風に、なっ!!」 軽く、拳に力をこめた。少なくとも、ワルドにはそれだけに見えた。 杖は手に持っていない。それだけなのに、である。 紅から紫色に揺らめく禍々しい炎が、メンヌヴィルの両の手から沸き起こり、 意志を持つかのようにのたうちまわってダンスをしている。 火力といい、速度といい、火は専門外であるとはいえ、ワルドとしては魅惑的な力が、その妖炎には煌めいていた。 「――ほぅ」 「どうだ?」 「――断る、とでも?」 力への渇望は、最早戻れないところまで来ている。 無詠唱による魔法の発動、それだけでも御の字のつく力だ。 あるいは、そのスポンサーとやらがさらなる力を与えてくれるヒントになるかもしれない。 ここまで来てしまえば、ワルドは悪魔にすら魂を売り渡すつもりであった。 「フハハハハハハハ!更なる地獄の業火へようこそ兄弟よっ!」 「ふん、貴様と兄弟になった覚えはない」 そう言いながら、立ち上がるワルドの顔には、悪魔よりも邪なる笑みが浮かんでいた。 前ページ次ページゼロの黒魔道士
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[部分編集] 代表的な台詞 通称 クロム君 [部分編集] 概要 SPA姉貴の大学生時代の元カレ。 詳細は伏せるが2人の性生活はSPA姉貴の「お尻が緩い」ネタや彼女の囲いの通称「おしりのあな民」の由来となった。 るりまさんは妹が彼氏を作ったことに激怒したという。 [部分編集] +[[]]での活躍 [部分編集] ニコニコでの扱い [部分編集] 本スレでの扱い [部分編集] 実況での扱い [部分編集] 主な持ちネタ
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ウェルス 分類 種別 属性 不明 攻撃 冷却(水流?) 解説 冷却系の攻撃魔術。 雑感・考察 明確な魔法分類は不明だが、使い手であるアンベルに神聖魔術が使えるという描写は無い為、おそらくは秘印術か玄磨魔術。 ゲーム内の情報に解説が無い為、どんな魔法か詳細は不明だが魔法名からアドウェルサーの同系統っぽい事や水流の状態異常を付加する事からおそらくは水流系の魔法。 同系統と思われる魔法を威力が高い順に並べるとルナウェルサー アドウェルサー ウェルサー ウェルス。 名前
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未解禁のモンスターです! このページは未解禁モンスターに関するページです。2024年05月17日 (金) 現在のApp版では作成不可能であることに留意してください。 パラメータ 成長パターン 初期コマンド 覚える技 (BOSS)熱鋼騎士クロム 出現条件 クラスチェンジ派生 解説 技コスト キャパシティ パラメータ 属性 火 性別 男 出現章 新4章 クラス ☆☆☆☆ 種族 戦士 入手方法 鋼騎士クロム(Lv10)+ヒートクロム 下位EX 剛熱・鉄鋼破斬 上位EX 爆熱・鉄鋼破斬 消費EXゲージ ? 形式 連打 ドロップアイテム ヒートハート 成長パターン HP レベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 個 体 値 0 237 242 247 251 256 261 265 270 275 280 1 240 245 250 254 259 264 268 273 278 282 2 243 248 252 257 262 266 271 276 280 285 3 246 250 255 260 265 269 274 279 283 288 4 249 253 258 263 267 272 277 281 286 291 5 251 256 261 265 270 275 279 284 289 294 攻撃 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 個 体 値 0 63 64 66 67 68 69 71 72 73 75 1 64 65 66 68 69 70 71 73 74 75 2 65 66 67 68 70 71 72 73 75 76 3 65 67 68 69 70 72 73 74 75 77 4 66 67 69 70 71 72 74 75 76 78 5 67 68 69 71 72 73 74 76 77 78 素早さ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 個 体 値 0 25 25 26 26 27 27 28 28 29 30 1 25 26 26 27 27 28 28 29 29 30 2 26 26 27 27 28 28 29 29 30 30 3 26 26 27 27 28 28 29 29 30 30 4 26 27 27 28 28 29 29 30 30 31 5 26 27 27 28 28 29 29 30 30 31 初期コマンド ★ ★★ ★★★ ★★★★ ミス かばう こうげき! 鉄壁のかまえ こうげき こうげき こうげき! 必殺のかまえ こうげき! こうげき! こうげき! こうげき! かばう こうげき! 剛剣クロムダイト こうげき! ★→★★ ★★→★★★ ★★★→★★★★ 剛熱剣クロムレギオン 鉄壁のかまえ 必殺のかまえ 必殺のかまえ 剛熱剣クロムレギオン ※鋼騎士クロムから進化させた場合、コマンドは継承 覚える技 単体選択攻撃 こうげき こうげき! 剛剣クロムダイト 剛熱剣クロムレギオン ランダム攻撃 全体攻撃 防御 かばう 回復 強化 鉄壁のかまえ 必殺のかまえ 召喚 異常 EX増減 コマンドパワー増減 ためる ★→★★ ★★→★★★ ★★★→★★★★ 技変化 無効 ミス (BOSS)熱鋼騎士クロム 出現条件 クラス合計に関わらずランダムで出現 煉獄皇アレスまたは魔将ガープをチームに入れる クラスチェンジ派生 熱鋼騎士クロム(Lv10)+ヒートハート→カードの絵柄変化 熱鋼騎士クロム+黒鉄竜アイアンドラゴン→灼鉄竜スティールドラゴン 解説 技コスト キャパシティ 2.0 【かばう】 3.0 【剛剣クロムダイト】 3.4 【剛熱剣クロムレギオン】 4.6〜4.8 【必殺のかまえ】【鉄壁のかまえ】 0 1 2 3 4 5 ★ ? ? ? ? ? ? ★★ ? ? ? ? ? ? ★★★ ? ? ? ? ? ? ★★★★ ? ? ? ? ? ?
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「ふたば系ゆっくりいじめ 1298 鬼意惨の演説/コメントログ」 ゆんやー作戦…ネーミングセンスが残念。 -- 2010-07-08 23 40 26 ふたばじゃないけどこれと同じネタのSSがあったな -- 2011-07-21 19 53 55 虐待!虐待!虐待! -- 2011-10-11 01 11 11 虐待!虐待!虐待! -- 2014-08-02 12 09 21 虐待!虐待!虐待! -- 2019-03-13 14 20 13 虐待!虐待!虐待! -- 2022-09-07 20 07 11
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満天星国:治安維持計算 犬士配置満天星国所有:警察署 満天星国所有:交番(2軒) 満天星国所有:税関施設 その他の治安補正花の種 満天星国:治安維持計算 交番(2軒) 市民病院 消防署 警察署 街灯 街灯(2) 慰霊碑 治安維持評価計算 交番 2軒 5+5+7+7+7+7+7+7+7+7+7+7+7+7+7+7+7=22 シフト効果計算 警察署 1軒 治安維持評価+5 交番が2軒設置されているのでさらに+4 消防署 1軒 治安維持評価+5 警察署が設置されているのでさらに+5 街灯 2件のシフト効果 +20 合計シフト効果 =39 22+39=61 最後にシフト効果のかからない街灯の評価を足す 20本分の評価⇒17 61+17=61 犬士配置 満天星国所有:警察署 45-xx011-xx:大福:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx012-xx:アンコ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx013-xx:ミタラシ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx014-xx:セン・カイ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx015-xx:ヴォイナイカ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx016-xx:ラトナ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx017-xx:チビ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx018-xx:茶々丸:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx019-xx:ティコ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx020-xx:アーベル:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 満天星国所有:交番(2軒) 45-xx025-xx:トマルク:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx026-xx:ミナ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 満天星国所有:税関施設 45-xx027-xx:ネヌゥ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx028-xx:ペルル:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 45-xx029-xx:ディブロン:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官 また、警察署、交番、税関それぞれに配置した犬士に対して、ピケおよび天陽を以下のように配備いたします。 ●警察署:エアバイクピケ・サイドカー(5機),天陽(10機) サイドカーP1_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx011-xx_大福:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)45-xx012-xx_アンコ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ サイドカーP2_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx013-xx_ミタラシ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)45-xx014-xx_セン・カイ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ サイドカーP3_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx015-xx_ヴォイナイカ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)45-xx016-xx_ラトナ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ サイドカーP4_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx017-xx_チビ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)45-xx018-xx_茶々丸:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ サイドカーP5_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx019-xx_ティコ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)45-xx020-xx_アーベル:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ ●交番:エアバイクピケ・サイドカー(2機),天陽(2機) サイドカーP5_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx025-xx_トマルク:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)- サイドカーP6_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx026-xx_ミナ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)- ●税関:エアバイクピケ・サイドカー(2機),天陽(3機) サイドカーP7_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx027-xx_ネヌゥ:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)- サイドカーP8_満天星国所有:ピケ・サイドカー+HQ中距離 (騎)45-xx028-xx_ペルル:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ (同)45-xx029-xx_ディブロン:東国人+ウォードレスダンサー+レコン+警官+天陽+SHQ ▼総計 エアバイクピケ・サイドカー:9機 天陽:15着 保有兵器一覧:http //maki.wanwan-empire.net/owner_accounts/1093/weapons 【配置申請】 その他の治安補正 花の種 【購入国】45:満天星国 【購入日時】2009/1/26 【購入品】花の種(アイテム) 【購入根拠UR】http //p.ag.etr.ac/cwtg.jp/bbs2/26288 【補正内容】治安+1 【数量】1 【HQ】無 【備考】 設置申請は後日となっており効果がかかるか現在不明。 #2009/11/15現在、満天星国に確認中(確認のため評価には加えておりません)
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hellsingのアーカードの振る舞いにも似ている点が多々あるような。拘束制御術式(クロムウェル)とか。 -- (名無しさん) 2010-10-31 04 51 33 見た目が幼女で中身は大人…灰原か? -- (名無しさん) 2010-12-21 04 03 55 見た目幼女で中身は年寄り+吸血鬼ならむしろエヴァンジェリン。 まあ、吸血鬼の女性で見た目幼女は他にもいろんな作品にありそうな設定だけど。 -- (名無しさん) 2011-01-16 11 20 49 化物語の忍ちゃん思い出した -- (名無しさん) 2011-03-15 17 06 06 とある少年って誰? -- (名無しさん) 2011-03-15 23 07 35 ナ イ ショ -- (管理人) 2011-03-16 00 20 40 クソルグの元ネタだけど、 「ゲオルク・オーム」さん、とまで言い切っていいんじゃね?電気繋がりだしさ… -- (名無しさん) 2011-04-17 14 16 18 この文章だけ見るとスレイヤー悪役みたいだ、結構いい吸血鬼なのにwどれだけ血を吸っても死なない奥さん見つけてからはほぼ吸ってないのにね -- (名無しさん) 2011-05-11 16 08 07 紅茶が好きな金髪ツインってのは真紅が元ネタだよな?カルルの中の人もライチ先生で物まねしてたぐらいだし -- (名無しさん) 2011-06-30 16 41 16 スレイヤーとの共通点(一部こじつけ) ・黒っぽい服に赤い十字架の外見 ・出身トランシルヴァニア(スレはトランシルバニア) ・誕生日10月31日 ・上から目線、傍観者 ・勝利演出(マントをバサッ) ・しゃがみが椅子に座ってるみたい ・仰向けダウンくつろいでる ・空投げ効果(真下に投げダウンを奪う) ・必殺技エフェクトがピンク色 ・姫様の4Bとスレの遠Sモーション似てない? -- (名無しさん) 2011-08-06 09 05 57 パーフェクトよヴァルケンハインみたいなこと言ってたときHELLSINGしか思い出せなかった -- (名無しさん) 2011-10-25 23 21 01 アルカードってHELLSINGのアーカードからじゃね? -- (名無しさん) 2012-08-12 04 10 52 そのアーカードがそもそもドラキュラの逆さ読みなんだよ -- (名無しさん) 2012-12-15 14 56 25 ヘルシングよりも前に手塚治虫がアルカードの名前を使ってるよ まあヴァルケンハインもいるから元ネタ的にはヘルシングだろうがw -- (名無しさん) 2012-12-18 22 43 31 外見はリリカルなのはのフェイトに中の人ははやて……でも一部技やロリで吸血鬼で東方のレミリアだよな -- (名無しさん) 2013-04-28 21 50 07 わりと吸血モノのテンプレなんで東方はちょっと関係ないですねー -- (管理人) 2013-04-29 02 24 55 不夜城とバーテンが似てる、くらいしか共通点はないな -- (名無しさん) 2013-04-30 11 23 19 ロータスは蓮って意味でしたよね、確か… -- (名無しさん) 2013-05-17 11 48 22 CTで初めて見た時は「アカツキ電光戦記のミュカレのパクリか?」と思ったもんだ。 金髪ツインテドS少女(だけど長生き)で設置技メインだし まぁプラチナが出た時も「エヌアイン完全世界のカティのパクリか?」って思ったんだけどね -- (名無しさん) 2013-06-03 14 45 05 家庭用DLCのミクカラーACに来ないかな? 来たらこのカラーでやりたいんだが。 -- (名無しさん) 2013-08-05 23 22 16 パーフェクトよバルケンハインがほんとなら、その台詞は間違いなくアーカードからだな。バルケンハインの中の人がウォルターだし。最初この人が格ゲーに出たことに驚いたもんだ、バルケンハインの中の人の方ね。 -- (名無しさん) 2013-10-09 03 09 02 チドリカラーあったろ? -- (名無しさん) 2014-04-26 11 06 45 世界観的に『ローゼンメイデン』のシンクかと・・・ -- (ゆ) 2016-03-13 14 38 00 ゲオルグを英語読みにすると「ジョージ」 そのまんまですね -- (名無しさん) 2017-02-07 09 30 20
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マレコン(Malecon) 概要 製造:カリビアン・スピリッツ 産地:パナマ 原料: 蒸留: 詳細 マレコンとはキューバの首都ハバナにある海岸通りの名前。ラベルには、キューバの伝統的な方法でつくられていると書かれている。すべてオーク樽での熟成をしている。 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 商品 マレコン 1976 セレクシオン(Malecon 1976 Seleccion) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~10,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン 25年 レゼルバ インペリアル(Malecon 25 Reserva Imperial) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~10,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン 21年 レゼルバ インペリアル(Malecon 21 Reserva Imperial) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~5,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン 18年 レゼルバ インペリアル(Malecon 18 Reserva Imperial) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~5,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン 15年 レゼルバ インペリアル(Malecon 15 Reserva Imperial) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~3,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン 12年 レゼルバ インペリアル(Malecon 12 Reserva Imperial) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~3,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン グラン レゼルバ 8年(Malecon Gran Reserva 8 Year Old) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~3,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る マレコン グラン レゼルバ 5年(Malecon Gran Reserva 5 Year Old) 概要 色 :ダーク 風味:ミディアム 容量:700ml 度数:40度 甘さ: 価格:~3,000円 詳細 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る アフィリエイト このページを編集
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前ページ次ページゼロな提督 「黙れ小童!」 苛烈な怒りを内包した女の声が響き渡った。 ファーサードから一人の女性がツカツカと広場へ進み出た。ヴァリエール公爵夫人だ。 全てを焼き付くかのごとき灼熱の眼光がウェールズを睨み付ける。 そして、ウェールズに杖を突きつけた。 「父王の仇たる敵に尻尾を振って許しを請い、おめおめと生き恥を晒す卑怯者め!惰眠を 貪り国を傾かせたですって!?それは、あなたとあなたの父君ジェームズ一世の事でしょ う!」 「いかにも!ゆえに父は始祖と国民の怒りを受けて倒された!だが神聖皇帝クロムウェル 殿は、余の未熟と不徳を許し、真の始祖への信仰を授けて下さった! 故に、余はここに集う全ての民に呼びかける!レコン・キスタに集うべし!我らの聖戦 に杖と剣を並べるのだ!!」 見目麗しい皇太子は、公爵夫人の眼光を正面から受けつつも、怯むどころか自らの正当 性を高らかに主張する。ロマリアの教皇、聖エイジス三十二世辺りなら信徒の鏡と褒め称 えただろう。 既に群衆も魔法衛士隊も観衆と化し、事態の推移を固唾を呑んで見守っている。 上空を旋回していた竜騎士達までもが、地上で一体何が起きているのかと高度を下げて 様子をうかがっている。 「たわけがっ!!」 今度は公爵の声が響いた。 靴を高らかに鳴らして闊歩し、婦人の横に立つ。 「聖地奪還だと!?世迷い言も大概にせよ!一体、その過程でどれ程の血が流れると思っ ているのだ!?国土の荒廃に思い至らぬか!?」 「一時の犠牲を恐れて本道を忘れる、王家に課せられた義務を放棄する。だから王家は堕 落したと言われるのだ!」 「民草を守るのも王家の務め!無為に戦乱を起こす事こそ始祖の御心に背く行為だ!」 「なんと!始祖の悲願たる聖地奪還を無為と仰せられるか!」 ウェールズの指摘に、一瞬公爵は言葉に詰まる。 だがすぐに立ち直り、信仰ではなく現実的にウェールズを論破しようとする。 「ならば問う! よしんば奪還したとして、その後どうするのだ!あんなハルケギニアから遠く離れた場 所では、兵站も戦線も維持できんだろうが!即座にエルフ共に奪い返されるのが関の山で あろう! 後に残るのはおびただしい数の屍と、荒れ果てた田畑と、親や子を失い泣き崩れる家族 の涙のみ!財政は借金で破綻し、野盗共が闊歩し、地方貴族が反乱を繰り返す暗黒の時代 が訪れよう!」 「それは臆病者の言い訳に過ぎない!ハルケギニアに住まう我ら全ての力と、神聖皇帝殿 の『虚無』の力をもってすれば、いかなる敵も打ち倒せよう!『聖地』に満ちる始祖の光 をもってすれば、エルフ達を永久に退けれよう!」 神聖皇帝の『虚無』。 この言葉が飛び出した瞬間、群衆にさざ波が起きる。伝説の始祖の系統はブリミル教徒 には絶対の権威だ。 公爵夫妻も僅かに怯み、汗が頬を伝ってしまう。 中央広場に集う、ほとんどの者が皇太子へ視線を向けていた。 彼と公爵夫妻の論戦に耳を傾けていた。 その中で、皇太子以外にも目を向けている人がいた。 ヤンは、ファーサードでオスマンの隣に立つロングビルを見た。 ロングビルもヤンの視線に気付き、頷く。 次に隣に立つシエスタを肘でつついて我に返らせた。 そしてワルド達は皇太子ではなく周囲に注意を払っていた。上空の竜騎士隊にも。 今度はルイズが声を上げた。 「姫さま、姫さまは、どうなさるのですか?」 アンリエッタ姫は、ウェールズの胸に顔を埋めたまま、何も答えない。 公爵夫妻のもとへと歩きながら、姫に問いかけ続ける。 「姫さま、おわかりでしょう? このまま姫さまがアルビオンへ行けば、同盟は破棄されます。のみならず、怒り狂った ゲルマニアが攻め入ります。多くの人が死ぬのです。レコン・キスタや聖地奪還とは無関 係に、です」 それでも麗しき姫は何も答えず、震えながら耳を閉ざす。 ルイズは更に姫へ語りかける。 「姫さまは、トリステインを捨てるのですか?姫さまを慕ってくれた全ての人を、裏切る のですか!?」 ようやくアンリエッタは顔を上げた。 苦しげにルイズの方へと向く。 「私達を、行かせてちょうだい」 ルイズの顔にも苦悶が走る。 「姫さま!何故ですか!?」 「そ、それは、聖地奪還という始祖の悲願を」 「そんなの嘘です!姫さまとてご存じでしょう?偉大なる始祖すら不可能だったことが、 何故今さら可能なのですか!?第一、クロムウェルは本当に『虚無』の系統ですか?確か なのですか?」 「いかにも確かだ!」 答えたのはウェールズだ。並み居る群衆に向かって堂々と宣言する。 「余はこの目でしかと見た!神聖皇帝殿が死者を蘇らせるのを!『虚無』が蘇った今こそ 始祖の悲願を成就すべき時なのだ!!」 群衆に更なる動揺が広がる。衛士隊も、どうすれば良いのか分からず命令が下せない。 上空の竜騎士隊は何がなんだか分からず、さらに低空へと降下してきていた。 そんな中、ルイズは必死にアンリエッタへ問いかけた。 「姫さま、答えて下さい。さっき父さまや母さまが言った事にも答えて下さい。 トリステインで多くの人が死んでも良いんですか?本当に聖地奪還をしたいと思ってい るんですか?始祖ですらどうにもならなかった事が、『虚無』一つで全てがどうにかなるな んて、そんな夢みたいな事を本気で信じているんですか!?」 「そ、それは…その」 「本当は、本当は…ウェールズ様と一緒になりたいだけじゃないんですか!?」 瞬間、アンリエッタは誰の目から見ても分かるほど、動揺した。 顔色が青くなり、大量の汗を流し、わなわなと震え出す。 ウェールズは、そんなアンリエッタを優しく抱きしめる。姫は皇太子の服に縋り付く。 口にするまでもない、明確な回答。 「目を覚まして下さい!姫さま、私は先日ご報告しました!そのウェールズ皇太子は正常 な状態ではないと!恐らくは洗脳されていると!!姫さまは騙されているんだわ!!」 アンリエッタは再び顔をルイズへ向けて、にっこりと笑った。鬼気迫るような笑みだっ た。 「根も葉もない言いがかりはおよしなさい、ルイズ」 「姫さま!」 「このウェールズ様が洗脳されているなど、何を根拠に言うのですか?」 「そ、それは…」 ルイズは言葉に詰まる。周囲の状況を把握し続けていたヤンも、思わず舌打ちしてしま う。 洗脳された証拠なんか、あるわけ無い。そもそも皇太子が元はどういう人物だったかす ら自分たちは知らないのだ。もともとこういう人でした、と言われたらこの場では反論出 来ない。 それにウェールズの言葉はブリミル教徒の鏡と言える立派なものだ。それが洗脳だとい うなら、ブリミル教徒全てが洗脳されている事になってしまう。 クロムウェルの系統が虚無かどうかなんて、この場では証明出来ない。 第一、アンリエッタ姫は強く亡命の意思を抱いている。こんな状態で結婚式なんか続行 出来ない、という以前に結婚自体が、もう無理だ。 分は悪い、ヤンはこの現状を認めざるを得なかった。 だが、だからこそ、ウェールズの身柄が必要だ。ウェールズがトリステインにいればア ンリエッタは亡命しない。同盟は破棄されるが、少なくとも国内は分裂しない。レコン・ キスタの自壊を待ってアルビオンの猛攻を堪え忍ぶ事になるが、それでも最悪の事態では ない。 まったく、自分は本当に神とか信仰とかとは相性が悪いんだな。地球教徒に暗殺されか け、ブリミルなんておバカの神様に捕まり、今度は狂信的ブリミル教徒へ洗脳された皇太 子と対峙させられるなんて・・・。そんな恨み言を呟いていしまう。 それでもルイズは諦めず、姫を翻意させようと説得を試みる。 「姫さま…姫さまは、王家の義務より自分の恋心が大事なのですか?民が流したおびただ しい血の道を歩んででも、自分一人の幸せを望むのですか!?国と民のために尽くすのが 王家の義務だったのではないのですか!」 「ルイズ…」 姫は、哀しげに涙を流しながら答えた。 その涙は美しいものだった。陽光に煌めく宝石の様だ。白磁のように透き通る肌を流れ る雫は群衆の心を打った。溜め息とすすり泣きが、そこかしこから聞こえてくる。 そしてそれを聞いているヤンは、凄まじい悪寒に襲われた。理性を感情が覆い尽くし、 正常な判断が出来なくなる。美辞麗句を並べ立てる扇動者の駒と成り果てる。ヤンが散々 悩みぬいた衆愚政治の温床が、今目の前に展開されているのだ。 アンリエッタは鈴の音のように心地よい、だが苦悩に満ちた声で語り続ける。 「ルイズ…あなたは人を好きになった事がないのね?本気で好きになったら、何もかもを 捨てても、ついて行きたいと思うものよ。 私は誓ったのよルイズ、水の精霊の前で誓約の言葉を口にしたの。『ウェールズ様に変わ らぬ愛を誓います』と。世の全てに嘘をついても、自分の気持ちにだけは嘘はつけないわ。 だから行かせてルイズ」 「姫さま!」 「これは命令よ。ルイズ・フランソワーズ、そして公爵も、公爵夫人も、魔法衛士隊も、 国民全てに命じます。私達を行かせてちょうだい。道をあけてちょうだい」 人々は、明らかに怯んだ。 王家への忠誠と、始祖への信仰から、皇太子と姫を行かせるべきだと結論を出した人が いる。同時に頭の中に理性を残した人は、姫の亡命を許せばトリステインが火の海となる と全身に警鐘を鳴らす。 相反する二つの命令が同時に下された脳内、肉体は新たな命令が下されないまま動く事 も出来ない。 群衆は、彫像のように固まってしまった。 固まっていないのは、上空にいるから声が聞こえず混乱したまま虚しく旋回し続けてい る竜騎士達だけだ。 ヤンにとっても、まさに悪夢だ。 自由と民主共和制のために戦ってきた自分が、貴族制度に基づく国家の延命を図って思 考を巡らしている。そして考え付いた手段は、自由を求める女を無理やり政略結婚の道具 とするために、彼女が恋焦がれる男を捕らえるというものだ。 自分が命を賭けたこれまでの戦いは何だったんだ!?人間一人を犠牲にして国家の延命 を図る?それは、僕が同盟政府にやられた事じゃないか!そして僕は部下に助けられ、同 盟から逃げたんだ!! この瞬間、ヤンすらも二律背反に陥り、動きを止めてしまった。 いや、固まっていない人物がいた。 公爵は、大きな溜め息を一つ付くと、杖を引き抜いた。 「お間違いを指摘するのも忠義というもの。城にいる陛下と枢機卿からも、よく叱ってお いてもらうと致しましょう」 その言葉に公爵夫人も我に返り、目にも止まらぬ速さで杖を引き抜いた。 「主君の不始末は、それを諫められぬ家臣の不始末!姫殿下には折檻が必要のようですわ ね!その後で、いくらでも陛下から不敬の咎を受けるとしますわ!!」 公爵夫妻の声に、ヤンは我に返った そしてワルドが公爵夫妻ではなく、上空を見ていたのに気がついた。 状況を把握した。 ジョンストンの風竜に乗って速やかに飛び去ろうとしていたウェールズが、何故に長々 と論戦をしていたのか、ワルドも一緒になって、どうして上空を気にしていたのかを理解 した。何が起こっているのか確かめようと、竜騎士隊が地上近くまで降下してきていたの だ。 「よせっ!離れてくれっ!!」 ヤンは慌てて竜騎士隊に向かって追っ払うような素振りをした。 だが運は味方しなかった。 その動きを見た竜騎士達は、自分たちに何を伝えようとしているのかと訝しみ、さらに 降下してきてしまった。 彼等の頭上、すぐ上にまで! 一人目の分身のワルドが魔法を放った。 巨大な竜巻が突如広場全体に突風を巻き起こす。 そして二人目の分身が本体に『レビテーション』をかける。分身に浮かされた本体は風 に乗り、空へと飛翔した。 「しまったぁ!」 「キャァッ!!」 風に巻き上げられた砂塵と紙吹雪の紙片と花吹雪の花弁に視界を塞がれ、叩き付ける突 風でヤンとシエスタは銃の狙いが外れてしまう。公爵も群集も魔法衛士隊も視界を奪われ た。唸りを上げる風に耳を塞がれた。 そして地上近く、広場上空に滞空していた竜騎士達も突然の竜巻に巻き込まれ、姿勢を 崩し、跳ね飛ばされ地上に叩き付けられそうになるのを必死に耐える。 必死に風竜を制御しようとしていた竜騎士の前に、いきなりワルドが現れた。 次の瞬間、竜騎士は『ブレイド』によって首を跳ね飛ばされた。 「『エア・ハンマー』!」 竜巻の中、殴りつける突風にも怯まず公爵夫人が魔法を放つ。 空気の塊がワルド達と王族二人へと襲いかかる。 「『エア・シールド』!」 だが三人目の分身が空気の壁を作り出した。高圧空気の塊は、やはり高圧の空気の壁に 弾かれ、大音響を響かせて破裂した。 「『ライトニング・クラウド』!」 四人目の分身が雷を撃ち出した。真っ直ぐに、公爵夫妻に向けて。 バチュンッ! 雷撃の白い光が舞い上がる砂塵を照らす。 だが、公爵夫妻は光を遮られ、照らされなかった。 二人の目の前には、大きな土の塊があった。それは雷撃を受けても気にする様子もなく、 見る見るうちに盛り上がり、10メイルほどの人型を為した。砂塵の向こう、ファーサード で杖を構える女性の姿がわずかに見える。 ロングビルが長い詠唱を終え、ゴーレムを形成したのだ。群衆に囲まれた広場でも動け る程度の大きさの土ゴーレムを。 土の巨人は地響きを上げてワルド達へと歩を進めだした だが、長い詠唱をしていたのはロングビルだけではなかった。 アンリエッタが呪文を唱えていた。 同時にウェールズも詠唱する。 二人の詠唱が重なる。 アンリエッタの『水』とウェールズの『風』、トライアングル同士の王族が生み出す魔法 は巨大な六芒星を形成した。 本来なら困難極まりなく、血を吐くような訓練と統率によって可能となる合体魔法。選 ばれし王家の血が可能とする、トライアングル同士が絡み合ったヘクサゴン・スペル。 中央広場にある噴水の水が吸い上げられ、六芒星によって竜巻へと姿を変えた。いまだ 砂塵や紙片を巻き上げる風の竜巻の内側に、更に水の竜巻が出現していた。抱き合い、手 を取り合う二人が天へと伸ばす杖から、津波のような荒れ狂ううねりが生まれていた。 水の城が、ゴーレムへと疾走した。 巨大でありながら、竜巻の回転速度も移動速度も極めて速い。土で出来たゴーレムはみ るみるうちに削られ、溶かされ、竜巻の渦に巻き込まれていく。さらにはゴーレムの背後 にいる公爵夫妻とルイズ、そしてファーサードの貴族達にめがけて暴虐なる水の竜が襲い かかる 閃光が走った。 竜巻を生み出していた二人を、杖を掲げていたウェールズとアンリエッタの腕を、熱線 が貫いた。 さらに立て続けに、幾筋もの光が杖を持つ腕を容赦なく貫く。巻き上がる砂塵の中、ブ ラスターのビームは『エア・シールド』による空気の壁を無視し二人の若き王族の杖を、 腕を、手を射抜く。周囲にいたワルドの分身もルーンを唱える間もなく撃ち抜かれ、破裂 音を残して次々と霧散した。 甲高い悲鳴が上がったが、水と風の竜巻が生み出す轟音に飲み込まれ、誰にも聞かれる ことなく消えていった。 竜巻の中、不自然に風の弱い空間が存在していた。 ヤンが左手に構えたデルフリンガーが竜巻を生む魔力を吸い込み、風と砂埃と花吹雪が 薄くなった空間の向こうにアンリエッタとウェールズ、そしてワルドの分身達の姿が晒さ れた。高く掲げた杖から強大な合体魔法を放った二人の腕と杖、そしてワルドの分身をめ がけ、ヤンとシエスタがそれぞれのブラスターを撃ち込んだのだ。 水と風の竜巻は魔力を失い、急速に消失していく。重力に引かれた大量の水が落下し、 近くにいた貴族達を押し流しながら広場を水浸しにする。紙吹雪と花吹雪がゆらゆらと舞 い降りる。 「ヤンさん!」 「捕まえるよ!」 二人はアンリエッタ達を捕縛すべく駆け出す。 ドゥンッ!! 走り出した二人の頭に、突然鈍器で殴られたような衝撃が振ってきた。 ボンッ!! 次の瞬間には、何かが破裂したかのような爆風に二人とも吹き飛ばされた。 二人の頭上には、風竜にまたがり杖を地上に向け『エア・ハンマー』を唱えたワルドが いた。 吹き飛ばされ、地面に倒れたヤンの霞んだ視界には、風竜に跨って飛び去ろうとするワ ルドがいた。ワルドの横には撃たれた所を押さえながら激痛で半狂乱になっているアンリ エッタ、彼女を抱きしめているウェールズの姿もあった。 慌てて右手から弾き飛ばされた銃を拾い、風竜を撃とうと構えたヤンだが、既に遅かっ た。風竜は街並みの向こう、トリスタニア上空を飛び去っていた。 中央広場から、群衆は消えた。 冷静さを取り戻した人たちは、アルビオンとゲルマニアが同時に侵攻するという最悪の 事態に震え上がり、各自の家へ走った。今頃、大慌てで荷物をまとめているだろう。 ようやく竜巻を逃れて着陸した首都警護竜騎士連隊は事の推移を聞かされて耳を疑い、 枢機卿と大后へ報告し、指示を仰ぐため城へと飛び去った。魔法衛士隊も同じく城へと飛 んだ。グリフォン隊だけは隊長のワルドがいなくなって多少まごついたが。 建造物に突っ込んだ風竜は死亡していた。建物に頭をぶつけて目を回しているうちに失 血死したようだ。乗っていたジョンストンと竜騎士の所在は不明。瓦礫の下にいるかもし れないし、既に逃げたかも知れない。だが、それを調べる余裕がある人物は、この場には いなかった。 「こ…こんな屈辱、ここまでの侮辱!生まれて初めてですわっ!!」 怒りに震えながら、懐から取り出した本を地面に叩き付ける少女がいた。ベアトリス殿 下だ。 「ルフトパンツゥアーリッター(空中装甲騎士団)!」 赤いドレスの少女が叫ぶと、広場に残っていた竜騎士達が水しぶきを上げながら速やか に整列して敬礼した。 「すぐに家へ戻るわよ!この茶番、急いでお父さまに報告して差し上げませんとね。…楽 しみですわ!惰弱にして無知蒙昧なトリステイン王家を蹂躙してあげますわよ!」 そう叫ぶやベアトリスは竜騎士の後ろに乗り空へと飛び立つ。他の竜騎士達も後に続い た。 広場に残った人間は少ない。 水浸しなままで茫然自失としている公爵夫妻とルイズ。わなわなと震えて膝をつくオー ルド・オスマン。憧れのアンリエッタが目の前でアルビオンに亡命してしまったのを見て 卒倒したギーシュと、父であるグラモン元帥。ぼんやりと佇むタバサとシルフィード。主 の指示を待つしかない、疲れ果てた様子のジェローム以下ヴァリエール家の召使い達。未 だにおたおたと無為に走り回っている大司教と司祭達…。 広場の真ん中には頭から流れる血を拭くヤンとシエスタと、駆け寄ってきたロングビル が立ち尽くしていた。 「はぁ、えらい事になっちまったねぇ」 「ヤンさん、どうしましょう・・・」 シエスタは不安げに尋ねてくる。さっきまで乱射していた彼女の右手のブラスターも、 今は熱を失い冷たくなっている。ヤンの右手の銃は胸にしまわれ、代わりに長剣が持ち替 えられていた。 「んと…さて、どうしようかな」 「おでれーたよなぁ、まったく。こりゃ困ったモンだ」 「困ったねぇ」 デルフリンガーの呟きに上の空で答えつつ、ヤンはキョロキョロと周囲を見渡す。そし て、ファーサード前と噴水横に注目した。 「ちょっと、待っててくれるかな」 ヤンは二人を残し、聖堂へと駆けていった。 ヤンはベアトリスが地面に叩き付けた本を手に取った。 表紙はボロボロで、古びた皮の装丁がなされ、色あせた羊皮紙のページは茶色くくすん でいる。ペラペラとページをめくるが、全ページが白紙だった。 「祈祷書、ね…」 次にヤンが足を向けたのは噴水横。そこには多量の血痕が地面に残っていた。ヤンとシ エスタが銃撃したウェールズとアンリエッタの血だ。 「…僕は陸戦隊員じゃないもんなぁ。ガンダールヴのおかげで、ちゃんと皇太子も姫も殺 さないように当てれたけど、結局逃げられちゃった。 これがローゼンリッターだったら、迷いもせず突入して一瞬であの二人を組み伏せれた んだろうけど、ね」 ヤンに続いて長剣もぼやく。 「そのガンダールヴだけどよ、いつかも言ったとおり、心の震えで力を増すんだ。だけど おめーさんは、いっつも冷静でのんびりしてるだろ?さっきなんか、頭ン中は迷いで一杯 だ」 「言いたい事は分かるよ。感情を理性で抑え、冷静さを保ち、常に論理的に考えながら行 動しているヤツにガンダールヴの力は向いていない、ということだろ?」 「そーゆーこった。おかげでガンダールヴの力がぜーんぜん発動出来てねぇ」 「そうだねぇ。…ま、その辺の恨み節はブリミルに言ってくれるかい?あのバカのせいで 僕がガンダールヴにされたんだから」 「そーだな。別にヤンは何にも悪くネーんだからな。むしろ、よく頑張ったんじゃねーか なぁ」 デルフリンガーにも評価された通り、自分でもあの状況で出来るだけの事はやった、と ヤンは思う。 それでも、と彼は思う。ウェールズを殺すべきだった、と。最善の結果を望み、殺しを 躊躇した結果、失敗した。最悪の事態へと突き進んでしまった。 「ところで、そこに落ちてるのは…もしかして、アレかい?」 長剣の問いかけに、意識は思考から現実へ向けられた。足下の血溜まりへと。 「そのようだね。自由も権利も歴史上タダではなかったんだ。これくらいは払ってもらわ ないとね。 むしろ、自由恋愛のための亡命代、国を売った対価としては安いくらいさ。僕だって命 がけで同盟から逃げたんだ」 相変わらず飄々としたヤンの言葉。だがその冷静さは、地面に転がるものを前にしたセ リフとしては、あまりにも毒を含みすぎていた。 血だまりの中、陽光を反射して光る物体があった。鮮やかな青い石だ。他にも砕け散っ た水晶がついた杖や、血濡れのティアラも散乱している。 始祖の秘宝。それは学院図書館やティファニアの話、それにルイズが王女に会った時に 確認した物など、手に入れた情報と一致する『水のルビー』。ルイズは先日アンリエッタ姫 の右手薬指にはめているのを確認していた。 そう、確かに右手薬指に着いている。それは今も変わらない。 血だまりの中、王女の右手薬指に着けられた水のルビーは、高貴な王族が流したな血飛 沫の斑点で飾られている。 地面には銃撃で千切れ飛んだアンリエッタの右腕、肘から先が落ちていた。 これに先立つ半日ほど前。 高度120リーグ、空を飛ぶ『塔』があった。 その物体は大気圏離脱に使用した『塔』のほとんどを切り離す。切り離された『塔』の 大部分は重力に引かれ、大気圏へ再突入を開始した。 もともと雷で表面が焦げていた『塔』は、大気圏突入によって大気との摩擦でさらに焼 かれた。そして地上に、ウィンプフェン領に墜落し地面と激突、細長い体は幾つにも折れ て砕けた。 用済みになった大気圏離脱用ブースターを切り離し、身軽になった本体は惑星周回軌道 へ入るべく、宇宙空間でさらに加速した。高度を上昇させ、速度は既に第一宇宙速度(秒 速7.9km)へ加速を終了している。 安定した円軌道を描く惑星周回軌道に入った本体は、その上部を覆うカバーを開けた。 中には4つの、一片1m程度の四角い機械が詰め込まれていた。 本体から射出されたそれらは、それぞれに定められた軌道へと自力で移動していく。一 つ、また一つと放たれた機械は惑星を取り囲んだ。正三角形が四つ合わさった正四面体の 頂点を構成したそれらは、姿勢制御も終えた。 センサーを伸ばし、カメラのカバーを開け、観測の任務に就く。 多目的観測衛星の射出という任務を終えた本体は、残存していたエネルギーでさらに加 速。万一にも観測衛星と衝突する事がないよう、第二宇宙速度(秒速11.2km)へと加速し て惑星の重力圏を離脱した。 観測衛星は様々な観測機器を搭載していた。 太陽から到来するX線のような、可視光線含めたガンマ線から電波までのあらゆる電磁 波。陽子に中性子。アップ・クォークにダウン・クォーク。タウ・ニュートリノやミュー オン。さらには重力子のようなゲージ粒子にいたるまで、全てを観測するための機器が積 まれていた。地上観測用の光学カメラもある。科学を知る人間が考えつく全観測機器が、 これでもかと詰め込まれていた。 なお当然ながら、それら観測結果を発信したり、観測者からの指令を受け取ったり、そ れらの通信を中継するための通信機器も有している。 それらは衛星軌道上につくと同時に稼働を開始した。カメラで撮影された大量の映像が データへと変換されて『門』へと飛ぶ。 『門』は鏡のように見える。だが実際には対象物を召喚するゲートだ。そして光や音の ような波の性質を持つエネルギーは、ある程度双方向で往来が可能だということが確認さ れていた。 惑星を周回する先輩である二つの衛星をはじめ、他惑星・太陽・他星系の情報も次々と 送信される。4つの衛星は与えられた機能をフル稼働させ、その任務を遂行していた。 それらの情報の中に、奇妙なノイズが混じった。 当初、それはノイズと思われた。他の情報からは著しく矛盾するデータだったからだ。 ハルケギニアや聖地を撮影した映像からは、そのようなデータが存在するはずが無いから だ。 観測者達はノイズの正体を確かめようと、即座に観測衛星へ新たな指令を送った。ノイ ズ発生源に近い位置を飛行する衛星がカメラを向ける。 その映像には、中世の街並みが映っていた。ただし、観測者が想い描く中世の街並みと は大きく異なった。観測者達は先ず自分の目を疑い、次いで観測機器の故障を疑い、最後 に己の正気を疑った。 中世ヨーロッパでは、少女の持つブラスターで狩られた竜が街中に墜落する事はなかっ たはずだ。 だがコンピューターは何の感情も偏見も加えず、ただデータと分析結果をモニターに表 示した。ノイズの正体はブラスターが生み出した高エネルギーだと。 第24話 破局 END 前ページ次ページゼロな提督
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前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ 「ふうーッ……もうじき、降臨祭か……」 グラモン元帥の四男ギーシュ・ド・グラモンは、士官用宿舎の窓辺で、溜息をひとつついた。 ここはアルビオン大陸南部、古都シティ・オブ・サウスゴータ。 人口は四万を数えるアルビオン有数の大都市で、サウスゴータ地方の中心都市でもある。 先日連合軍によってクロムウェルの共和制政府より解放され、始祖降臨祭の準備で賑わっている。 その戦いでは、このギーシュも活躍したのだった。彼は戦闘の様子を回想する……。 この都市は、始祖ブリミルが最初にアルビオンへ降臨した場所であり、小高い丘の上を利用して建設されている。 円形の城壁と五芒星形の大通りを有し、観光名所としても知られている歴史ある街だ。 連合軍が上陸したロサイス港と、首都ロンディニウムを繋ぐ街道の中間点にあり、古来交通の要衝として栄えてきた。 ここを抜けば、アルビオンの南部を制したに等しい。 連合軍6万人の軍需物資は、豊富とは言えせいぜい6週間分。 最初から長期戦は不可能な話であり、短期決戦で一気に首都を攻略する腹積もりであった。 それに一年の初めに当たる始祖降臨祭、ヤラの月の初日から10日間は、宗教上休戦せねばならない。 ゆえに、このウィンの月いっぱいで戦争にメドをつけねばならないのだ。 しかし、ロサイスに上陸してから10日あまり。総司令官ド・ポワチエ将軍は、軍議を続けていた。 「かなり警戒しておりましたが、激しい抵抗はあれっきりですな。時間と兵糧を無駄にしてしまいました。 ロンディニウムに籠った敵は、まだ動きません。籠城戦の構えかと」 「ふむ、しかし我が方もアルビオンの南部全域を抑えれば、どうにか補給はできよう。 ロサイスの戦いで敵艦隊に大被害を与え、空は制した。ひとまずこの都市を攻略する事に全力を注ぐのだ。 ウィンプフェン参謀総長、周辺の鎮撫は進んでおるかな?」 「ええ、地域住民は連合軍の味方です。クロムウェルたちは無理な清貧を民に強制し、 蛮族や亜人を派遣して食料を略奪させたようです。民心はすでに、敵側から離れているのが実情ですな」 「よおし、明後日より攻撃を開始するぞ! 艦砲射撃で大砲と城門・城壁を崩しておけ! 一番に突入した部隊には、立派な勲章を授与してやる!!」 かくして、上陸から15日目。ようやくシティ・オブ・サウスゴータ攻撃が開始されたのである。 その頃、シティ・オブ・サウスゴータでは、亜人どもによる略奪と破壊の限りが尽くされていた。 アルビオンの北部、ハイランド(高地)地方に棲むオーク・オグル・トロールといった鬼たちだ。 巨体怪力で山のように食物を喰らい、棍棒で人間を叩き殺すのが趣味という物騒な奴らである。 そしてシティの中心部、市議会庁舎には、さらに異様な存在が二体いた。 青く輝くヒトデのような怪物は、ソロモンの72の霊の一柱、『五芒星の侯爵』デカラビア。 獅子の頭から五本の山羊の脚が突き出た怪物は、同じく『星辰の総統』ブエル。 共に医術や秘薬の知識に詳しく、多くの使い魔を操る魔神だが、彼ら自身にさして戦闘力はない。 亜人の多い占領軍を抑えるための雑魚悪魔である。 「ああ、この都市は『霊脈』がよく通っていて、心地よいのう。わざわざ五芒星の結界まで張ってあるし」 「ほんにのう。まぁ、まずは人間どもをこの街に引き入れて、エサにしちゃろうぞ」 「亜人どもは血肉を食らうじゃろうが、わしらには魔力の高いメイジの霊魂がご馳走じゃ」 「あやつらの死骸は、秘薬の材料にもなるぞい。ひひひひひ」 城壁の外では、戦列艦による艦砲射撃が終わり、朝もやの中を兵士たちが突撃してくる。 松下率いる『千年王国』軍団は、別働隊として市内上空を『魔女のホウキ』に乗って飛び回る。 彼らは魔法や銃弾を放ち、頭上から亜人どもを始末しているのだ。 時々飛んでくるバリスタの巨大な矢は、メイジたちが協力して撃ち落す。 「……これは、見事な五芒星の結界だな。うかつに踏み込むのはやばそうだ」 「伝説によれば、始祖ブリミル自らが設計したそうよ。本当かどうか知らないけど」 松下とルイズは、高みに立って地上を見下ろしていた。 五芒星、ペンタグラムは『明けの明星』や霊魂、人体という霊的小宇宙を表す重要な図形だ。 東洋では陰陽道において五行を表すシンボル、晴明桔梗紋(セーマン)として知られる。 完全数たる四に一を足した、変化と転変の数。魔法学院の塔と同じく、四大系統と虚無を表すのだろうか。 あるいは周囲の円形の城壁こそ、『大いなるゼロ(0)』を象徴するのかも知れない。 「一番槍に興味はないが、あの中心部に聳えるひときわ高い建物に、怪しい気配があるな。 『占い杖』も反応している。青色と銀色のオーラが立ち昇っているのが見えるかな?」 「なんとなく、見えるわ。あれは確か市議会の庁舎だし、そいつらが亜人を指揮しているのかしら。 そうね、頭を潰せば……でも、私は今、あんまり『虚無』の魔法が撃てないわよ」 「ふむ、偵察を出すか。どんな奴か分かれば、対策は立てられる」 メイジの一人が使い魔のカラスを飛ばし、庁舎内の偵察をした。やがて彼は、情報を松下に伝える。 「おっ、あれは第四使徒のギーシュじゃないか?」 ふと城壁の方を見やると、ギーシュ率いるグラモン中隊、総勢150名が突入を始めている。 案外手際よく、20匹ほどのオーク鬼の集団を片付けていた。 ギーシュの指揮が上手いというより、副官のニコラという軍曹が戦慣れしているお蔭だったが。 やがて崩れた櫓の一つに、薔薇と豹をあしらったグラモン家の旗がひるがえった。 「へーえ、凄いわ! 一番槍じゃない! 私たちも負けていられないわ、手柄を立てなくちゃ」 「そうだなあ、ここはひとつ、彼と協力しようか。第二使徒シエスタよ、あの中隊に連絡してくれ。 敵の大将は市議会の庁舎にいる、我々『千年王国』教団がご案内しよう、とね」 「分かりました、『我らのメシア』!」 「さあルイズ、ホウキ部隊を呼び集めよう。地上戦に移るぞ」 総勢1000名の『千年王国』軍団はグラモン隊と合流し、大通りを市議会庁舎に向かって進撃する。 襲い来る亜人や敵兵を踏み潰し、大通りに面した建物を次々と制圧し、 一同は聖歌を高らかに歌いながら行進する。市民は歓呼して『解放軍』を迎え、花を撒き散らした。 「こ、これが勝ち戦か! ぼかあ今、猛烈にカンゲキしている!(わなわな)」 「うはははは、初陣で幸先がいいですぜ、グラモン中隊長!」 「諸君、これは『千年王国』を築くための緒戦に過ぎない。 共に団結し共に攻め、地上に天国を、万民に自由と平和をもたらそう!」 「はははは、何だか知らねえが景気がいいや、『千年王国』バンザーイ!」 「戦闘というより、凱旋式みたいね……気分がいいわ、みんなもっと歓声を!!」 《群衆の多くの者は上着を道に敷き、他の者たちは葉のついた枝を野原から切って来て敷いた。 そして、前に行くものも後に従うものも、共に叫び続けた。 『ホサナ、主の御名によって来たる者に祝福あれ! 今来たる我らが父祖、ダヴィデの国に祝福あれ! いと高き所に、ホサナ!』》 (『イエスのイェルサレム入城』:新約聖書『マルコによる福音書』第十一章より) ぶおおーーーーっ、という角笛の音が、市内に響き渡る。悪魔デカラビアとブエルの全身に悪寒が走った。 「な、何じゃ? このビビビと体に響く、いやな音は?」 「あ、あれじゃ! 来おったぞ、『東方の神童』が!」 松下は自ら嚠喨と角笛を吹き鳴らし、市内の住民に『解放者』の到来を告げていた。 何万という大軍が続々と城壁を越えて攻め込むや、市民も隠し持っていた武器を手にして総決起し、 連合軍と協力して亜人どもをそこかしこに追い詰め、掃討していく。 市議会庁舎から見下ろすと、黒い大波が押し寄せてくるようだった。 「ははははは、これぞ『神の笛』だ! さあ市民諸君、暴虐を働いてきた敵兵をことごとく滅ぼし、 この町を清めよう! 大いに叫べ、ハレルヤ、ホサナ!!」 「「HALLELUJAH!! HOSANNA!!」」(神様万歳!! 救いたまえ!!) 「わしの家は叩き壊されたぞ!」「私の子供は食べられちゃったわ!」 「俺の嫁は凌辱されちまった!」「メシもカネも略奪されたぞ!」 「清めろ! 聖(きよ)めろ!!」「降臨祭の前の大掃除じゃあ!!」 「打倒、クロムウェル政府!!」「打倒、共和制政府!!」 「市議会庁舎へ向かえ! 占領軍の大将をぶっ殺せ!!」 まるで『ハーメルンの笛吹き』のように、松下の後ろには市民や軍勢が続々と集まり、中心部を目指す。 その数は130人ならぬ、数万人。松下はまた角笛を吹き鳴らし、士気を高める。 「あっぐ、く、苦しい! この音はたまらぬ、まるで『ソロモンの笛』じゃ!」 「い、いかん、早く逃げ出さんと、リンチにかけられて嬲り殺されるぞ!!」 《そこで民は呼ばわり、祭司たちはラッパを吹き鳴らした。 民はラッパの音を聞くと同時に、みな声をあげて呼ばわったので、石垣はみな崩れ落ちた。 そこで民はみな、すぐに上って町に入り、町を攻め取った。 そして町にあるものは、老若男女も牛も羊も驢馬も、ことごとく剣にかけて滅ぼした》 (『エリコの陥落と聖絶』:旧約聖書『ヨシュア記』第六章より) 「それ、市議会庁舎に攻め入れっ!!」 うわーーーっと目を血走らせた大群衆が攻め入ったから、たまらない。 悪魔たちは空を飛んで逃げ出すが、どうしたことか庁舎の建物より高くは飛べず、城壁の外にも出られない。 松下は慌てふためく悪魔を嘲笑い、ホウキで飛びあがって魔法の縄をかけ、降伏を勧告する。 「ははははは、結界をぼくが利用して、外へ出られないようにしたのだっ。 この都市の住民は、みなぼくらの味方だからな。さあ観念しろ、悪魔ども!」 「「お、お助けを、『悪魔くん』サマ!!」」 「サマはよけいだよ。どうせきみら悪魔は殺しても死なないんだし、 ひとつ暴徒と化した民衆に嬲り殺されてくれないか? あれを抑えるにはそれしかないぜ」 「そりゃひどい! カミサマ、マツシタ様、お助け!」 「わ、わしらはあなたの手下になります! この都市もそっくり献上します! どうか民衆に執り成して、わしらばかりはお救いください!!」 『民の声は神の声』とは昔から言われているが、メシアに人民への執り成しを願った悪魔も、 そうザラにはいないだろう。そこで松下は、こう提案した。 「じゃあ、きみら自身の偶像をこしらえて、それを密かに身代わりにするんだな。 そうしたらこの壷の中に大人しく封印されていたまえ。時が来たら出してやる」 「「は、はい! 『東方の神童』よ、感謝いたします!!」」 こうして、シティ・オブ・サウスゴータの攻略は、僅か1日で終了した。 悪魔どもが土の塵と藁でこしらえた生贄の偶像は、松下とギーシュによって破壊され、 集まった民衆の前で灰になるまで焼き尽くされた。 ド・ポワチエ将軍は彼らを英雄として賞賛し、多数の勲章を授与したのち、 翌日シティの中央広場において、共和制政府からの解放を宣言したのであった。 「「連合軍、万歳!! 解放軍、万歳!!」」 集まった市民は、自由の回復を喜び、万歳をもってこれに応えた。 「……と、早々に片がついたのはよかったが……随分のんびりしているなあ、連合軍は」 ギーシュは、宿舎の窓から大通りを見下ろし、また呟く。 ここ、シティ・オブ・サウスゴータの解放が今月の半ば。しからばここに守備兵を5000も残し、 全軍をもってロンディニウムを包囲するのが、常道であろう。 ところが市内の食料庫や金庫はカラッポだった。やむなく連合軍は民心安定のため、食料などを市民に分配する。 もともとギリギリだった兵糧は、これで半分に減った。破壊された建物の修復などもやらざるを得ない。 ロンディニウムを包囲するには軍需物資がどうにも不足で、本国からの輸送を待つことになった。 そこへ、クロムウェル側から休戦の申し込みだ。期間は始祖降臨祭の終了まで。 両軍とも体勢を立て直す必要があり、トリステイン・ゲルマニア両国政府もやむなくこれを受諾。 シティ・オブ・サウスゴータは、復興特需と降臨祭の準備で、お祭り騒ぎの気分に満ちていたのだった。 「ああ、アルビオンはやはり寒い。3000メイルも上空の、高地だもんなあ。 雪がちらついてきたじゃないか、白銀の降臨祭になるな」 熱いワインを啜り干しリンゴを齧りながら、ギーシュは呟く。あれから『英雄』としてさんざん祝勝会に連れまわされ、 エールの飲み過ぎで腹具合が悪くなったようだ。しばらく飲み会はキャンセルしよう。 宴席ではバッチリもてたが、戦地ゆえモンモランシーやケティに会えないのは、少し辛い。 大体アルビオンは料理も酒もいまいちで、女の子は美人でもみんなキツいのばかり。 ええい、本国からの慰問団はどうした。手紙のひとつも寄こしたってよさそうなもんじゃないか。 ああ、こっちから書くのを忘れていた。よし、ひとつ恋文でも書こうか。 と、ドアがトントンとノックされた。 「お、誰だい?」 「ゲルマニアの士官で、チェザーレという者だ。ミスタ・ギーシュ・ド・グラモンはこちらかな?」 「……何だ、男か。声は若いが、サインでも貰いに来たのかな。やれやれ、英雄は辛いヨ」 ギーシュは椅子から立ち上がると、金髪を櫛で整えてドアへ向かった。 「うっほん、どうぞ、入りたまえ」 しかし、ドアの向こうにいたのは、信じられないほどの美少年だった。満面の笑顔で握手を求めてくる。 「やあ、英雄殿、初めまして! ジュリオ・チェザーレです! ぼかあロマリア人の神官だが、ゲルマニアのブラウナウ伯爵に取り立てられてね、 今はゲルマニア軍に属している。よろしく、ミスタ・ギーシュ」 「ああ、よ、よろしく、ジュリオくん」 彼の美貌と爽やかな笑顔、有無を言わせぬ勢いに、ついクラッと来たのはナイショである。 (つづく) 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ